のお迎いにまいりました」
「花魁とは誰だ」
「へへへへへ」と、喜介は忌《いや》に笑った。「先々月駈け出したぎりで、音沙汰なしの花魁でございます。相手も大体見当が付いてはおりますが、表沙汰にしましてはまた御迷惑をする方もあるだろうと、内所《ないしょ》で手分けをして探していましたが、眼と鼻の間のこんなところに隠れていようとは、今の今までちっとも知りませんでした。まことに恐れ入りますが、どうかあなた様から花魁によく仰しゃって、ここはまあ一旦素直に帰るように願いとうございます」
「いや、綾衣はここにはおらぬ」
 外記は居ないと言った。喜介は居るに相違ないと言い張って、しまいには家探《やさが》しをするとまで言い出したので、外記ももう面倒になった。
「たとい綾衣が隠れて居ようとも連れて帰ることは相成らぬ。外記が不承知だと、立ち帰って主人に申せ」
 喜介はせせら笑った。
「へへ、子供の使いじゃございません。じゃあ、殿様、どうしても綾衣さんの花魁を渡しちゃあ下さいませんか」
「知れたことだ。帰れ、帰れ」
「へえ、さようでございますか」
 こんなことを言いながら、喜介の料簡ではまず不意に相手の刀を取りあ
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