この刀の柄《つか》に絡《から》んだ。そうして、二人を恋におとして、さらに暗いところへ導いてゆく。たとい二人が摺れちがっても、この刀さえなかったらなんにも起らずに済んだかも知れない。
それを思うと、この刀と自分たちの間には、人には判らない一種の不思議が絡み付いているらしく、自分たちはどうしてもこの刀で亡ぼされなければならない因縁をもっているようにも信じられた。剣難の相があると言った占い者の予言が、いよいよ嘘でないように思い当られてきた。
「今だから打ち明けて話しんすが、わたしには剣難の相があると上手な占《うらな》い者さんが言いんした。そんなことがあるかも知れえせんね」
「そんなことがあるかも知れない」
外記は綾衣のような宿命論をもってはいなかった。占い者を信ずることも出来なかった。彼はただ、燃えるような熱い情けにただれて、そのままとろけて消えてしまいたかった。
「いよいよ甲府勝手とやらに決まりなんしたら、ぬしに再び逢う瀬はありんせんね」と、綾衣はもう判り切っていることに念を押した。
彼女の眼は吸い付けられたように刀を離れなかった。蚊帳の波は少しゆらいで、水のような夜風が窓から流れて
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