、この上は尋常に腹を切れ、叔父が介錯してやると迫った。
 外記はまだ命が惜しいと言った。お手討ちも詰め腹も真平御免《まっぴらごめん》だとことわった。叔父は卑怯な奴だといきまいた。甥は卑怯でないと冷やかに答えた。叔父と甥との考えはまるで食い違っていた。
 叔父のいう理屈は、ひとつも外記の胸に落ちなかった。彼はむしろ腹立たしくなった。手討ちにするの、腹を切れのと、ひとの命を自分の勝手に取扱おうとするのが既に無理な注文ではないか。自分の命には自分という持ち主がある。家のためや親類縁者のためや、そうした事情のいけにえとして、罪もない自分のいのちを安価に売り買いされるのは自分の堪え得ることでない。それを拒《こば》むのは決して卑怯でないと外記は思った。彼はどうしても死ぬのは忌《いや》だと言い切った。
 お縫や三左衛門にも外記の料簡は理解し得られなかった。しかし、かれらもさすがに兄や主人を殺そうとは思いも付かないので、泣いて縋って五郎三郎をさえぎった。二人はまつわられて五郎三郎も持て余した。
「では、きょうのところはともかくも免《ゆる》して置くから、よく分別して見ろ。卑怯者め」
 ふた口目には卑怯呼
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