低い四目垣《よつめがき》にかぶさっている萩の葉の軽いそよぎにも、どこにか冷たい秋風のかよっているのが知られて、大きいとんぼが縁のさきへ流れるように飛んで来た。
お縫が運んで来た茶を飲みながら、五郎三郎は世間話などを二つ三つした上で、ふだんから好きな碁の話に移った。
「おれもこのあいだは御用繁多であったが、幸い今日は非番だ。といって、屋敷に唯つくねん[#「つくねん」に傍点]としていても退屈だから、久し振りでひと勝負しようかとわざわざ出かけて来た。どうだ、外記。この頃は少しは強くなったか。三左衛門、盤を持ってまいれ」
三左衛門はすぐに碁盤を持ち出して来たが、外記はとてもそんな悠長な落ち着いた気分にはなれなかった。
「わたくしはこのごろ暫く盤にむかいませんので、とても叔父さまのお相手にはなれませぬ。どうかきょうは御免を……」
「見れば顔色もよくないようだが、気分でもすぐれぬのか」
「いえ、別に病気という訳でもござりませぬが……」
「病気でなくば一局まいれ。かえって暑さを忘れるものだ」
叔父はもう石を取り始めたので、外記も断わり切れなくなって、いやいやながら盤にむかった。五郎三郎も面白づ
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