か、途中から手伝いの者が加わったか、いずれにしても其の後の成り行きは想像するに難くない。しかも島田の額に犬という字をなぜ書いたか、それは依然として解き難い謎であった。
 ハリソン夫婦を殺した下手人も、お角であることは大かた想像されたが、彼女がなぜ異人夫婦を殺すに至ったか、その仔細はやはり判らなかった。お角は八日の夜のうちにハリソン夫婦を殺し、併《あわ》せてその犬を殺し、その翌日は島田を誘い出して殺した。この筋道に間違いはあるまいと思われるのであるが、なぜ殺したか、どういう方法で殺したか、半七はその判断に苦しんだ。
「おい、松。ここでいつまで悩んでいても仕方がねえ、ともかくも写真屋へ帰ろう」
 江戸屋を出て、本宿へさしかかると、半七は往来のまんなかで二匹の犬のたわむれているのを見た。

     六

「調子に乗っておしゃべりをしていると、あんまり長くなりますから、もうここらで打ち留めにしましょう」と、半七老人は笑った。
「お角はどうなりました」と、私は訊いた。
「無論、召し捕りましたよ。お角は本所一つ目のお留という女髪結の二階に隠れていました。早桶をかつぎ出したのは、お留のせがれの国蔵
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