と相長屋の甚八という奴で、国蔵はお角と関係があったのです。前にお話し申した通り、お角は神原の屋敷の馬丁と出来合っていたのですが、その馬丁の平吉が挙げられると、すぐに国蔵という後釜《あとがま》をこしらえる。そのほかに写真屋の島田と関係する。外国人のハリソンにもお膳を据える。いやもう乱脈でお話になりません。国蔵は小博奕《こばくち》なぞを打つ奴で、甚八もおなじ仲間です。この二人がお角に頼まれて、島田の死骸を入れた早桶をかついで、押上《おしあげ》辺の寺へ送り込むつもりで、日の暮れがたに出て行くと、あいにくに横網の河岸で多吉に出逢った。多吉の方じゃあよくも覚えていなかったんですが、国蔵の方じゃあ多吉の顔を識《し》っていて、ここで手先に見咎《みとが》められちゃあ大変だと思って……。根がそれほどの悪党じゃあありませんから、慌てて早桶を大川へほうり込んで逃げだした。そんな事をすれば猶さら怪しまれるのですが、度胸のない奴がうろたえると、とかくにそんな仕損じをするものです。どっちも気の小さい奴ですから、多吉に睨まれたと思うと、なんだか気味が悪くって自分の家《うち》へは寄り付かれず、その後は深川辺の友達のと
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