は鑑定した。
「先生とお角が飲みに行くところは何処だ」
それは神奈川の台の江戸屋であると、吾八は答えた。三五郎を番人に残して、半七は松吉を連れてすぐに江戸屋へ行った。そこの帳場で聞きあわせると、島田とお角は九日の四ツ半(午前十一時)頃からここの二階へ来て、八ツ半(午後三時)頃まで差し向いで飲んでいたが、島田は正体もなく酔い潰れてしまったので、お角は駕籠を呼んで貰って、彼を扶《たす》け乗せて帰った。
いかに酔い潰れていると云っても、眼と鼻のあいだの近いところを駕籠に乗せて帰るのは少しおかしいと、半七はその駕籠屋を呼んで詮議すると、かれらはお角に頼まれて、正体のない島田を生麦《なまむぎ》の立場《たてば》まで送ったと云うのである。お角も駕籠に付いて行って、そこの立場茶屋へ島田を扶け入れ、相当の酒手をやって駕籠を戻した。駕籠屋の話によると、島田は前後不覚に酔っていたが、決して死んではいなかった。
死んでしまっては六郷の渡しを越えるのが面倒であるから、島田はまだ生きていたに相違ない。正体もなく酔わせて置いて、お角は自分の注文通りの場所へ運んで行ったのであろう。女の手ひとつで、それを仕遂げた
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