、外国人に対して上《かみ》の御威光が自然に薄らぐ道理であるから、せいぜい働いて早く埓を明けろと云った。
半七は承知して神田の家へ帰ると、松吉は朝から待っていた。やがて三五郎も来た。三人が午飯《ひるめし》を食いながら相談の末に、あしたを待つまでもなく、これからすぐに発足《ほっそく》することになった。秋といっても七月の日はまだ長い。途中で駕籠を雇って、暮れないうちに六郷の渡しを越えてしまえば、今夜は神奈川に泊まることが出来るというので、三人は急いで出た。
見送りに来た多吉と幸次郎に品川で別れて、半七らは鮫洲《さめず》から駕籠に乗った。予定の通りに神奈川の宿《しゅく》に泊まって、あくる十五日に横浜にはいると、きょうは朝から晴れて残暑が強かった。戸部の奉行所へ行って、係りの役人らにも逢って、諸事の打ち合わせをした上で、半七らは三五郎に案内されて、居留地の異人館を一応見とどけに行った。ハリソンの自宅には錠がおろしてあるので、三五郎はその隣りに住む同国人のヘンリーをたずねた。ヘンリーは団子坂の道連れで、ハリソンの空家の監理人となっているのである。
かの事件以来、ヘンリーは奉行所へも再三出頭し
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