、胴まわり五、六寸。これに撃たれた者はかならず死ぬのである。
爆身蛇《ばくしんだ》というのがある。灰色で、長さ一、二尺、人の路ゆく声を聞けば、林の中から飛び出して来て、あたかも枯枝が横に飛ぶように人を撃つ。撃たれた者はみな助からない。
黄願蛇《おうがんだ》は長さ一、二尺、黄金のような色で、石のひだのうちにひそんでいる。雨が降る前には牛のように吼《ほ》える。これも人を撃って殺すもので、四明山《しめいざん》に棲んでいる。
異材
唐の大尉《たいじょう》、李徳裕《りとくゆう》の邸へ一人の老人がたずねて来た。老人は五、六人に大木を舁《か》かせていて、御主人にお目通りを願うという。門番もこばみかねて主人に取次ぐと、李公も不思議に思って彼に面会を許した。
「わたくしの家では三代前からこの桑の木を家宝として伝えて居ります」と、老人は言った。「しかしわたくしももう老年になりました。うけたまわれば、あなたはいろいろの珍しい物をお蒐《あつ》めになっているそうでございますから、これを献上したいと存じて持参いたしました。この木のうちには珍しい宝がございまして、上手な職人に伐らせれば、必ずその宝が
前へ
次へ
全15ページ中4ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岡本 綺堂 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング