中国怪奇小説集
録異記
岡本綺堂
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)墜《お》ちた
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)十|石《こく》入り
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「奚+隹」、第3水準1−93−66]冠蛇《けいかんだ》
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第六の男は語る。
「わたくしの役割は五代という事になっています。昔から五代乱離といいまして、なにしろ僅か五十四年のあいだに、梁、唐、晋、漢、周と、国朝が五たびも変ったような混乱時代でありますので、文芸方面は頗る振わなかったようです。しかしまた一方には、五代乱離といえどもみな国史ありといわれていまして、皆それぞれの国史を残している位ですから、文章まったく地に墜《お》ちたというのではありません。したがって、国史以外にも相当の著述があります。
さてそのなかで、今夜の御注文に応じるには何がよかろうかと思案しました末に、まずこの『録異記』をえらむことにしました。作者は蜀《しょく》の杜光庭《とこうてい》であ
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