数丈の高さにのぼっているのを見た。
漢の末に赤眉《せきび》の賊が起った時に、賊兵は張良の墓をあばいたが、その死骸は発見されなかった。黄いろい石も行くえが知れなかった。墓の上にあがる黄気もおのずから消え失せた。
異魚
※[#「魚+侯」、第3水準1−94−45]※[#「魚+夷」、第3水準1−94−41]魚《こういぎょ》は河豚《ふぐ》の一種で、虎斑がある。わが虎鰒《とらふぐ》のたぐいであって、なま煮えを食えば必ず死ぬと伝えられている。
饒《じょう》州に呉《ご》という男があった。家は豊かで、その妻の実家も富んでいて、夫婦の仲もむつまじく、なんの欠けたところもなかった。ところが、ある日のこと、呉が酔って来て、床の上にぶっ倒れてしまった。妻が立ち寄って、その着物を着換えさせ、履《くつ》を脱がせようとして其の足を挙げさせる時、酔っている夫は足をぶらぶらさせて、思わず妻の胸を蹴ると、彼女はそのまま仆《たお》れて死んだ。夫は酔っていて、なんにも知らないのであった。
しかし妻の里方《さとかた》では承知しない。呉が妻を殴《う》ち殺したといって告訴に及んだが、この訴訟事件は年を経ても解決せず
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