ね。
李中行 大変なこと……。何が出来したのですな。
高田 阿香さんが……。
李中行 娘が……。
高田 機械場の調べ革に巻き込まれて……。
李中行 (おどろいて立つ。)それでどうしました。
高田 みんなも驚いて機械を止めたんですが、もう間に合わないで……。
李中行 (すり寄る。)もう間に合わないで……。娘は怪我をしましたか。
高田 怪我ぐらいなら好いが……。兎もかくも直ぐに近所の病院へ送ったんですが……。なにしろ手も足も折れて仕舞ったらしいので……。
李中行 (進みよる。)そ、それでも……。娘は、たたすかりますか。
高田 (躊躇しながら。)どうもそれが……。病院の医者もむずかしいと云っているんですよ。
(李はおどろいて倒れかかるを、高田はあわてて支えながら、再び榻に腰をかけさせる。)
李中行 (唸るように。)娘は……阿香は……。ああ、死ぬのか。
高田 それで取りあえず知らせに来たんです。さあ、早く病院へ来てください。阿母さんはどこにいるんです。
(李は答えず、卓の上に顔を伏せている。)
高田 (あたりを見まわす。)え、阿母さんはどうしました。畑へ行っているんですか。僕は阿母さんを呼んで
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