青蛙神
岡本綺堂
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)鋤《すき》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三年|後《のち》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)びっくり[#「びっくり」に傍点]
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第一幕の登場人物
李中行
その妻 柳
その忰 中二
その娘 阿香
高田圭吉
旅の男
[#改ページ]
第一幕
時は現代。陰暦八月十五日のゆうぐれ。
満州、大連市外の村はずれにある李中行の家。すべて農家の作りにて、家内の大部分は土間。正面には出入りの扉ありて、下のかたの壁には簑笠などをかけ、その下には鋤《すき》またや鍬《くわ》などの農具を置いてあり。その傍らには大いなる土竃《どがま》ありて、棚には茶碗、小皿、鉢などの食器をのせ、竃のそばには焚物用の高梁《コーリャン》を束ねたるを積み、水を入れたるバケツなどもあり。よきところに木卓を置き、おなじく三四脚の木榻《もくとう》あり。下のかたには窓あり。上のかたは寝室のこころにて、ここにも出入りの扉あり。家の外には柳の大樹、その下に石の井戸あり。うしろは高梁
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