うが、うぬっと云いながら又ぞろ自分の下駄を把《と》ったので、梅の井の人達もおどろいて飛び出して、右左から清吉を抱き縮《すく》めてしまったが、こうなると又おふくろが承知しない。
「清ちゃん、なんだって家《うち》の娘をこんなひどい目に逢わせたんだえ。刺青《ほりもの》が無いから無いと云ったのがどうしたんだ。お前さんはなんと思っているか知らないが、これはあたしの大事の娘なんだよ。指でも差すと承知しないから……。巫山戯《ふざけ》た真似をおしでないよ。」
 お金と清吉との関係を万々承知ではあるけれども、自分の見る前で可愛い娘をこんな目に逢わされては、母の身として堪忍ができない。こっちも江戸っ子で、料理茶屋のおかみさんです。腹立ちまぎれに頭から罵倒《こきおろ》すように怒鳴り付けたから、いよ/\事件は面倒になって来ました。清吉も黙ってはいられない。
「えゝ、撲ろうが殺そうが俺の勝手だ。この阿魔はおれの女房だ。」
「洒落たことをお云いでない。おまえさんは誰を媒妁人《なこうど》に頼んで、いつの幾日に家のお金を女房に貰ったんだ。神明様の手洗い水で顔でも洗っておいでよ。ほんとうに馬鹿々々しい。」
 おふくろは
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