れたは、深い思召《おぼしめ》しのあることで、かれの罪状いよ/\明白と相成つて、再びお召捕りに相成るのだ。
助十 いや、さうでございましたが。(安心して。)實はわたくしが縛りました。
權三 わたくしも縛りました。
助八 わたくしも手傳ひました。
伴作 おゝ、さうであつたか。委細はあらためて申し聞かせる。(捕方に。)それ、引立てい。
勘太郎 おかまひないと申渡されたわたくしが、どうして二度のお繩を頂戴いたすのでございませうか。
伴作 兎《と》やかう申すな。尋常に立て、立て。
勘太郎 (強情に。)いえ、恐れながら申上げます。
捕方 えゝ、立て、立て。
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(伴作は先に立ち、捕方は無理に勘太郎を引立てて下のかたに去る。一同は呆氣《あつけ》に取られたやうにあとを見送る。)
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權三 なんだか狐に化かされたやうだな。
與助 やつぱり勘太郎はお召捕りになるのか。それといふのも、おれの大事の猿を殺した報《むく》いかも知れないぞ。
おかん いくら猿だつて無暗にひねり殺すやうな奴だもの、人間だ
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