つて殺し兼ねやあしないよ。
雲哲 さうだらうなあ、むやみにあいつに繩をかけて、どうなることかと心配してゐたが、これが過《あやま》ちの功名と云ふのかな。
願哲 かうなるとおまへ達はお叱りどころか、却つてお褒めにあづかるかも知れないぞ。
おかん お褒めにあづからないまでも、お叱りがなければ結構さ。お役人が來たと聞いた時には、わたしは本當にぞつとしたよ。
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(路地の口より家主六郎兵衞と彦三郎出づ。)
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おかん あら、大屋さんが歸つて來なすつた。
六郎 おゝ、みんなこゝにゐたか。まあ、まあ、めでたい、目出たい。わたしもこれで重荷をおろした。
彦三郎 みなさんのお蔭樣で、わたくしの本望もやうやく達しまして、こんな嬉しいことはござりません。
權三 本望が達したかえ。いや、それで判つた。今こゝへお役人が來て、勘太郎を召捕つて行きましたよ。
彦三郎 では、勘太郎はもう召捕られましたか。
助十 (自慢らしく)おれ達がふん縛つてお役人に引渡して遣つたよ。
六郎 いや、それは早手廻しであつた
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