話を聞かされた。
「お前の久しい馴染みであった陶器師《すえものつくり》の翁《おきな》が俄に死んだよ」と、叔父は気の毒そうにささやいた。
「おお、あの翁が死んだかよ」と、千枝太郎はまた驚かされた。
「丁度あの祈祷の明くる朝であった。いつも早起きのあの翁が日の高うなるまで戸をあけぬのを不審がって、近所のものが隙きまからそっと覗いてみたら、翁は紙衾《かみぶすま》から半身這い出して、両手に空《くう》をつかんだままで……。ああ、善《い》い人であったがのう」
「ほんに善い人であったがのう」と、千枝太郎はおおむ返しに言って、深い溜息をついた。
古塚へ夜まいりの女をみたという弥五六は、何物にか喉を食い裂かれて死んだ。それを千枝太郎に教えた陶器師の翁も三浦の孫娘とおなじ夜に死んだ。それらを一いち思いあわせると、彼は一種の強い恐怖におそわれた。玉藻という女を中心にして、いろいろの悲哀と恐怖とが再び千枝太郎の胸に重い石を置いた。彼は翁の墓にひと束の草花をそなえて帰った。
あくる月のはじめである。
野州《やしゅう》の那須の住人那須八郎|宗重《むねしげ》から早馬で都へ注進して来た。それは九月のなかばから白
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