ようともしないので、千枝太郎は幾らか気安く思った。そうして今夜こそは自分の務めを果たさなければならないと、張りつめた心を抱えて夜の更《ふ》けるのを待っていたが、どうも落ち着いてはいられないので、彼はゆうべよりも早く家を出て、陶器師の翁をたずねた。
「翁《おきな》よ。少し頼みがある。わしを小町の水の森へ案内してくれぬか。身内から光りを放った女が通り過ぎたというのはどのあたりか、案内して教えてくれ」
途方もないと言うように、翁はしばらく黙って相手の顔を見つめていたが、やがて思い出したようにその手をゆるく振った。
「ならぬことじゃ。くどくもいう通り、塚の祟りがおそろしいとは思わぬか」
「いや、それを見とどけたらわしも出世する。翁にも莫大の御褒美を貰うてやる。どうじゃ、それでも頼まれてくれぬか」
「はて、出世も御褒美も命があっての上のことじゃ。ましてわしも人づてに聞いたばかりで、詳しいことはなんにも知らねば、いくら頼まれてもその案内が出来ようぞ。どんな出世になるか知らぬが、お身もやめい。あのような所へは行くものではないぞ」
いくら強請《せが》んでも動きそうもないので、千枝太郎もあきらめてそ
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