と、あきないに馴れた叔父の大六は言った。
「そりゃ誰とても同じことで、顔馴染みのうすいあいだは商売も薄いものじゃ。これを飽きずに堪えねば、職人も商人《あきうど》も世は渡られぬ。まして三浦介殿が家来の衆と顔馴染みになったは仕合わせじゃ。坂東の衆は気前がよい。ぬけ目なくその宿所へ立ち廻って、ひとかどの得意先きにせねばならぬぞ」
 古塚のことも気にかかりながら、きょうは京じゅうを一日あるき廻って、千枝太郎もさすがに疲れたので、そのまま寝てしまった。あくる日は早く起きて京の町へ出た。
 七条へ行って、三浦の宿所を探していると、きのうの家来に丁度出逢った。家来はきのうと違った直垂を着ていた。千枝太郎は馴れなれしく話しかけて、彼の名が小源二《こげんじ》ということまでも聞いてしまった。
「失礼ながら、お前は服装《みなり》に似合わぬ、烏帽子の折りざまが田舎びているような。わたくしが都風に折って進ぜましょう」
 彼は新しい烏帽子を折ってやった。そうして、その価《あたい》を受け取らなかった。その代りにお前の宿へ案内して、ほかの人たちの仕事を頼まれるように口添えをしてくれと相談すると、小源二はこころよく受け
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