んとに早い。婆めが死んでからもう四年目になる」と、翁はすこし寂しそうな顔をして言った。
自分と仲悪の婆の死――それが藻と何かの因縁があるらしく考えられるので、千枝太郎は何げなく翁に訊いた。
「婆どのが死んで四年目になるか。婆どのはあのような怪しい死にざまをして、今にその子細は判らぬかの」
その後になんの不思議もなかったかという問いに対して、翁はこう答えた。
「さあ、不思議というほどのことは……。いや、たった一度あった。おお、たしか去年の秋……やはり丁度今頃のことじゃと覚えている。お前も識っているであろう。この村の弥五六という男……。あの男が暗い夜に、小町の水の近所を通ると、ここらには珍しい美しい上臈《じょうろう》が闇のなかを一人でたどってゆく。いや、不思議なことには、その女のからだから薄い光りがさして、遠くからでもその姿がぼんやりと浮いて見えたそうな。弥五六もあまりの不思議にそっと後をつけてゆくと、女の姿はあの古塚の森の奥へ消えるように隠れてしもうた」
千枝太郎は息をつめて聴いていた。
「弥五六もぞっとして逃げて帰った。あくる日近所の者にその話をすると、皆もただ不思議じゃと言うば
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