但しは魔性の者と申さるるか」
これらの人びとは現実に不思議を見せたのではないと泰親は言った。前者はその徳の輝きを仰いで光明と申したのである。後者《こうしゃ》はその肌の清らかなのを形容して衣通と呼んだのである。いかなる尊い人間でも、身の内から光りを放って夜を昼にするなどというためしのあるべき筈がない。もしこの世にそのような人間があるとすれば、それは仏陀の権化《ごんげ》か、但しは妖魔の化生《けしょう》であると、彼は鋭く言い切った。
「では、この玉藻を妖魔の化生と見られまするか。それに相違ござりませぬか」と、玉藻は眉も動かさずに言った。「さりとは興《きょう》がることを承るもの。この上はとこうの論は無益じゃ。お身たちはまずその壇を退《の》かれい」
「お身はここへ登ると言うか」
「おお、登りまする。お身たちが調伏の壇の上までも、恐れげもなしに踏み登るというが、玉藻の身に陰りのない第一の証拠じゃ。午の刻を過ぎたらもうお身に用はない筈。わたくしが代って祈りまする。退かれい、退かれい。退かれませ」
彼女は命令するようにおごそかに言い渡した。そうして、檜扇を把《と》り直してしずしずと祈祷の壇上にのぼ
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