もと雨を祈っているのでないことを承知している彼らは、雨の降らないのをむしろ当然に思っているくらいであった。
 泰親も四人の弟子もきょうの空と同じように鎮まり返って祈りつづけていた。彼らはまじろぎもしなかった。風のない壇の上に五色の幣はそよりとも動かなかった。河原一面の日に照らされながら、公家も侍も息をつめて控えていた。
 やがて午の刻が来た。岸の上で一度に洩らす失望の溜息が夕立のように聞こえ出した。
「もう詮《せん》ない、時刻が来た」
「いかに神《かみ》がみを頼んでも、降らぬ雨は降らぬに決まったか」
「いや、まだ力を落とすまい。午を過ぎたら玉藻の前の祈りじゃというぞ」
「播磨守殿すらにも及ばぬものを、女子《おなご》の力でどうあろうかのう」
「かの御《ご》は知恵も容貌《きりょう》も世にすぐれたお人で、やがては采女に召さりょうも知れぬという噂がある。その祈祷じゃ。神も感応ましまそうも知れまい」
 噂のぬしは午の刻を合図に、その優艶な姿を河原にあらわした。玉藻もきょうは晴れやかに扮装《いでた》っていた。彼女は漆《うるし》のような髪をうしろに長くたれて、日にかがやく黄金《こがね》の釵子《さいし
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