心持で、神のように尊い師の前に頭《かしら》をさげた。一種悲壮な空気が安倍晴明の子孫の家にみなぎった。
 一時は鴨川が溢《あふ》れるかとも危ぶまれた今年のさみだれも、五月の末から俄に晴れつづいて、六月にも七月にも一滴の雨がなかった。火のような雲が空を飛んで、焼けるような強い日が朝から晩まで照りつけた。それに焦《こが》された都の土は大地震のあとのように白く裂けてしまった。鴨川の水も底を見せるほどに痩せて枯れて、死んだ魚は白い腹を河原にさらしていた。大路《おおじ》の柳はぐたり[#「ぐたり」に傍点]と葉をたれて、広い京の町に燕《つばめ》一羽の飛ぶ影もみえなかった。それが京ばかりでなく、近郷近国《きんごうきんごく》いずれもこの大旱《おおひでり》に虐《しいた》げられて、田畑にあるほどの青い物はみな立ち枯れになってしまった。
 あらゆる神社仏閣で雨乞いの祈祷が行なわれた。このままにひでりが打ち続いたならば、草木ばかりでなく、人間もやがて蒸し殺されてしまうかもしれないと悲しまれた。八月になっても雨雲の影さえ動かなかった。
「えらい暑さじゃ。総身《そうみ》がゆでらるるような」
 薄い藍《あい》色の大空を
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