臣頼長ももちろん同意である。由来、かかる魔性の者はその目の前で祈り伏せて、すぐに正体を見あらわすのが秘法の極意《ごくい》ではあるが、関白殿御寵愛の女子を呼び出して、その目の前で悪魔調伏の祈祷を試みるというわけにもいかないので、七十日の間、自分の居間に降魔《ごうま》の壇を築いて、蔭ながら彼女を祈り伏せる決心である。それには自分のほかに四人の弟子がいる。お前もその一人に加える筈であるから、あっぱれ一心をぬきん出て怠りなく仕まつれと、彼は千枝太郎にこまごまと言い聞かせた。
「かしこまりました」と、千枝太郎は自分の重い責任を感じながら直ぐに承知した。
「泰親に取っては一生に一度の大事の祈祷じゃ。身命をなげうって仕まつる。お身たちも命を惜しまず、精《せい》かぎり根《こん》限り祈りつづけよ。われわれ五人のうち、一人たりとも心のゆるむものあらば、修法《しゅほう》は決して成就せぬものと思え。胸にきざんで忘るるな」
 播磨守泰親は決死の覚悟でこの大事に当たろうというのである。千枝太郎のほかに、三人のすぐれた弟子も交るがわるに呼び出されて、同じく師匠の大決心を言い聞かされた。弟子たちはみな涙ぐまれるような
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