も容赦もならぬ。衛府《えふ》の侍どもを召しあつめて、宇治へ差し向けようと思う」
「宇治へ……」と、玉藻は眉をよせた。
「おお、頼長めを誅伐するのじゃ。氏《うじ》の長者を許され、関白の職におる忠通に敵対するやからは謀叛人も同様じゃ。弟とて容赦はない。すぐに人数を向けて攻め亡ぼすまでのことじゃ。信西入道も憎いやつ、今までは我が師と敬うていれば付け上がって、謀叛人の方人《かたうど》となって我に刃向かうからは、彼めも最早《もはや》ゆるされぬ。頼長と時を同じゅうして誅伐する。かれら二人をほろぼせば、その余の徒党は頭のない蛇も同様で、よも何事をも仕得《しえ》まいぞ。侍を呼べ、すぐに呼べ」と、忠通はまなじりを裂いて哮《たけ》った。
「御立腹重々お察し申しまするが、まずお鎮まりくださりませ」
 玉藻はさえぎってとめた。今この場合に衛府の侍どもを召されても、かれらが素直に左大臣誅伐の命令に応じて動くかどうかわからない。左大臣の野心はとうに見え透いているものの、これぞと取り立てていうほどの証拠もないのであるから、迂闊にここで事を起こすと、理を以って非に陥るおそれがないでもない。衛府の者どものうちに左大臣や
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