た。信西入道も反対であった。彼らの反対は師道も内々予期していたので、[#底本では読点が句点]彼もなんとかしてその敵を押し伏せようと試みたが、何をいうにも正面の敵は頼長である。しかも博学宏才の信西入道がその加勢に付いているので、師道はとても彼らと対抗することは出来なかった。結局さんざんに言いまくられて、彼は面目を失って退出した。
「彼らは何故《なにゆえ》ならぬという。素性が卑しいと申すのか」と、忠通は唇を咬みながら訊いた。
「いや、そればかりではござりませぬ。玉藻という女性《にょしょう》に就いては落意しがたき廉々《かどかど》があるとか申されまして……」と、師道もすこしあいまいに答えた。「あのような女性を召されては天下《てんが》の乱れにもなろうと信西入道が申されました」
「なんの、天下の乱れ……。おのれらこそこの忠通を押し倒して、天下を乱そうと巧《たく》んでいるのじゃ」
忠通は拳《こぶし》を握って、跳り上がらんばかりに無念の身をもだえた。
二
師道が早々に帰ったあとで、忠通はすぐに玉藻を呼んだ。彼は燃えるような息を吐きながら、今聞いた顛末《てんまつ》を物語った。
「もう堪忍
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