とを、阿闍梨はきょうという今日つくづく覚って、おもわず長い溜息をついた。
「さるにてもお身、何人《なんぴと》に就いてこれほどの修業を積まれしぞ」
玉藻は幼いころから父に教えられて経文を読み習った。それから清水寺の或る僧に就いて少しばかりは学んだ。そのほかには、別にこうという修業を積んだこともなくてお恥ずかしいと言った。
「わたくしのような修業のあさい者にも、ひじりの教えをうけたまわることがなりましょうか」
「なる、なる」と、阿闍梨は幾たびかうなずいた。「たとい女人ともあれ、お身ほどの御仁なら我ら求めても法を説き聞かせたい。御奉公の暇々《ひまひま》にはたずねて参られい」
思いのほかに叔父の機嫌が直ったので、そばに聴いている兼輔もほっとした。彼はこれほどの才女を叔父に紹介したということに就いて一種の誇りを覚えた。それと同時に、日ごろ頑固《かたくな》な叔父の鼻を捻《ね》じ折ったような一種の愉快をも感じた。彼は口の上の薄い髭を撫でながらほくそえんだ。
「叔父上、今からはこのみ寺にも女人禁制の掟《おきて》が解かれましょうな」
「それは人による」と、阿闍梨もほほえんだ。「これほどの女人がほかに
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