と伝えてくりゃれ。それは関白殿にもよう御存じの筈じゃ」
ふだんはともあれ、きょうの兼輔はそれでおめおめと引き退がるわけにはいかなかった。かれは玉藻に教えられた提婆品《だいばぼん》を説いた。八歳の龍女|当下《とうげ》に成仏の例《ためし》をひいて、たとい罪業のふかい女人《にょにん》にもあれ、その厚い信仰にめでて、一度は対面して親しく教化をあたえて貰いたいと、しきりに繰り返して頼んだ。しかし叔父は石のように固かった。
「いかに口賢《くちさかし》う言うても、ならぬと思え。面会無用じゃとその女子に言え」
「叔父さまはその女子を御存じない故に、世間の女子と一つに見て蛇《じゃ》のようにも忌み嫌わるるが、かの玉藻と申すは……」
「いや、聞かいでも大方は知っている。世にも稀なる才女じゃそうな。才女でも賢女でも我らの眼から見たら所詮《しょせん》は唯の女子とかわりはない。逢うても益ない。逢わぬが優《ま》しじゃ」
なんと言っても強情に取り合わないので、兼輔も持て余した。今更となって自分の安受け合いを後悔した彼は、玉藻にあわせる顔がないと思った。といって、この頑固《かたくな》な叔父を説き伏せるのは、なかなか
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