うん。そうだね。僕《ぼく》はあんな大きな蛋白石《たんぱくせき》があるよ。けれどもあんなに光りはしないよ。僕《ぼく》はこんど、もっといいのをさがしに行くんだ。お前もいっしょに行かないか」
 大臣《だいじん》の子はすこしもじもじしました。
 王子はまたすぐ大臣《だいじん》の子にたずねました。
「ね、おい。僕《ぼく》のもってるルビーの壺《つぼ》やなんかより、もっといい宝石《ほうせき》は、どっちへ行ったらあるだろうね」
 大臣《だいじん》の子が申《もう》しました。
「虹《にじ》の脚《あし》もとにルビーの絵《え》の具皿《ぐざら》があるそうです」
 王子が口早に言《い》いました。
「おい、取《と》りに行こうか。行こう」
「今すぐでございますか」
「うん。しかし、ルビーよりは金剛石《こんごうせき》の方がいいよ。僕《ぼく》黄色な金剛石《こんごうせき》のいいのを持ってるよ。そして今度《こんど》はもっといいのを取《と》って来るんだよ。ね、金剛石《こんごうせき》はどこにあるだろうね」
 大臣《だいじん》の子が首《くび》をまげて少し考えてから申《もう》しました。
「金剛石《こんごうせき》は山の頂上《ちょうじょ
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