ほね》もはじけたかと思うばかりするどいさけびをあげました。びっくりしてそちらを見ますと空が生き返《かえ》ったように新しくかがやき、はちすずめはまっすぐに二人《ふたり》の帽子《ぼうし》におりて来ました。はちすずめのあとを追《お》って二つぶの宝石《ほうせき》がスッと光って二人の青い帽子《ぼうし》におち、それから花の間に落《お》ちました。
「来た来た。ああ、とうとう来た。十力《じゅうりき》の金剛石《こんごうせき》がとうとう下った」と花はまるでとびたつばかりかがやいて叫《さけ》びました。
木も草も花も青ぞらも一|度《ど》に高く歌いました。
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「ほろびのほのお 湧《わ》きいでて
つちとひととを つつめども
こはやすらけき くににして
ひかりのひとら みちみてり
ひかりにみてる あめつちは
…………………」
[#ここで字下げ終わり]
急《きゅう》に声がどこか別の世界に行ったらしく聞こえなくなってしまいました。そしていつか十力《じゅうりき》の金剛石《こんごうせき》は丘《おか》いっぱいに下っておりました。そのすべての花も葉《は》も茎《くき》も今はみなめざめるばか
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