た霰石《アラゴナイト》でみがきあげられ、その実《み》はまっかなルビーでした。
もしその丘《おか》をつくる黒土をたずねるならば、それは緑青《ろくしょう》か瑠璃《るり》であったにちがいありません。二人《ふたり》はあきれてぼんやりと光の雨に打《う》たれて立ちました。
はちすずめがたびたび宝石《ほうせき》に打たれて落《お》ちそうになりながら、やはりせわしくせわしく飛《と》びめぐって、
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ザッザザ、ザザァザ、ザザァザザザァ、
降《ふ》らばふれふれひでりあめ
ひかりの雲のたえぬまま。
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と歌いましたので雨の音はひとしお高くなり、そこらはまたひとしきりかがやきわたりました。
それから、はちすずめは、だんだんゆるやかに飛《と》んで、
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ザッザザ、ザザァザ、ザザァザザザァ、
やまばやめやめ、ひでりあめ
そらは みがいた 土耳古玉《トルコだま》。
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と歌いますと、雨がぴたりとやみました。おしまいの二つぶばかりのダイアモンドがそのみがかれた土耳古玉《トルコだま》のそらからきらきらっと光って落《お》ち
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