すなわ》ち両翼《りょうよく》を開張し、虔《うやうや》しく頸《くび》を垂れて座を離《はな》れ、低く飛揚《ひよう》して疾翔大力を讃嘆《さんたん》すること三匝《さんそう》にして、徐《おもむろ》に座に復し、拝跪《はいき》して唯《ただ》願うらく、疾翔大力、疾翔大力、ただ我|等《ら》が為《ため》にこれを説き給《たま》え。ただ我等が為にこれを説き給えと。
疾翔大力|微笑《みしょう》して、金色《こんじき》の円光を以《もっ》て頭《こうべ》に被《かぶ》れるに、その光|遍《あまね》く一座を照し、諸鳥|歓喜《かんぎ》充満《じゅうまん》せり。則ち説いて曰く、
汝等《なんじら》審《つまびらか》に諸の悪業《あくごう》を作る。或《あるい》は夜陰《やいん》を以て小禽《しょうきん》の家に至る。時に小禽|既《すで》に終日日光に浴し、歌唄《かばい》跳躍《ちょうやく》して疲労《ひろう》をなし、唯唯《ただただ》甘美《かんび》の睡眠《すいみん》中にあり。汝等飛躍してこれを握《つか》む。利爪《りそう》深くその身に入り、諸の小禽痛苦又声を発するなし。則ちこれを裂《さ》きて擅《ほしいまま》に※[#「口+敢」、第3水準1−15−19]
前へ
次へ
全44ページ中14ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング