、一つの山になっている。それが岩頸だ。ははあ、面白《おもしろ》いぞ、つまりそのこれは夢《ゆめ》の中のもやだ、もや、もや、もや、もや。そこでそのつまり、鼠《ねずみ》いろの岩頸だがな、その鼠いろの岩頸が、きちんと並《なら》んで、お互《たがい》に顔を見合せたり、ひとりで空うそぶいたりしているのは、大変おもしろい。ふふん。」
それは実際その通り、
向うの黒い四つの峯《みね》は、
四人兄弟の岩頸で、
だんだん地面からせり上って来た。
楢《なら》ノ木大学士の喜びようはひどいもんだ。
「ははあ、こいつらはラクシャンの四人兄弟だな。よくわかった。ラクシャンの四人兄弟だ。よしよし。」
注文通り岩頸は
丁度胸までせり出して
ならんで空に高くそびえた。
一番右は
たしかラクシャン第一子
まっ黒な髪《かみ》をふり乱し
大きな眼をぎろぎろ空に向け
しきりに口をぱくぱくして
何かどなっている様だが
その声は少しも聞えなかった。
右から二番目は
たしかにラクシャンの第二子だ。
長いあごを両手に載《の》せて睡《ねむ》っている。
次はラクシャン第三子
やさしい眼をせわしくまたたき
いちばん左は
ラクシャンの第|四子《し
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