えない。
「そんなら僕たちはこれからさきどうなるでしょう。」
双子の声が又聞えた。
「さあ、あんまりこれから愉快《ゆかい》なことでもないようですよ。僕が前にコングロメレートから聞きましたがどうも僕らはこのまま又土の中にうずもれるかそうでなければ砂か粘土かにわかれてしまうだけなようですよ。この小屋の中に居たって安心にもなりません。内に居たって外に居たってたかが二千年もたって見れば結局おんなじことでしょう。」
大学士はすっかりおどろいてしまう。
「実にどうも達観してるね。この小屋の中に居たって外に居たってたかが二千年も経《た》って見れば粘土か砂のつぶになる、実にどうも達観してる。」
その時|俄《にわ》かにピチピチ鳴り
それからバイオタが泣き出した。
「ああ、いた、いた、いた、いた、痛ぁい、いたい。」
「バイオタさん。どうしたの、どうしたの。」
「早くプラジョさんをよばないとだめだ。」
「ははあ、プラジョさんというのはプラジオクレースで青白いから医者なんだな。」
大学士はつぶやいて耳をすます。
「プラジョさん、プラジョさん。プラジョさん。」
「はあい。」
「バイオタさんがひどくおなかが痛がっ
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