く》ののろのろのぼりや風や空気のおかげで、おれたちと肩《かた》をならべているが、元来おれたちとはまるで生れ付きがちがうんだ。きさまたちには、まだおれたちの仕事がよくわからないのだ。おれたちの仕事はな、地殻の底の底で、とけてとけて、まるでへたへたになった岩漿《がんしょう》や、上から押《お》しつけられて古綿のようにちぢまった蒸気やらを取って来て、いざという瞬間《しゅんかん》には大きな黒い山の塊《かたまり》を、まるで粉々に引き裂《さ》いて飛び出す。
煙《けむり》と火とを固めて空に抛《な》げつける。石と石とをぶっつけ合せていなずまを起す。百万の雷を集めて、地面をぐらぐら云わせてやる。丁度、楢《なら》ノ木大学士というものが、おれのどなりをひょっと聞いて、びっくりして頭をふらふら、ゆすぶったようにだ。ハッハッハ。
山も海もみんな濃《こ》い灰に埋《うず》まってしまう。平らな運動場のようになってしまう。その熱い灰の上でばかり、おれたちの魂《たましい》は舞踏《ぶとう》していい。いいか。もうみんな大さわぎだ。さて、その煙が納まって空気が奇麗《きれい》に澄《す》んだときは、こっちはどうだ、いつかまるで空へ届
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