てまた云《い》った。(化石《かせき》をさがしに来たんです。)化石も嘉吉《かきち》は知っていた。(そこの岩にありしたか。)(ええ海百合《うみゆり》です。外でもとりました。この岩はまだ上流《じょうりゅう》にも二、三ヶ|所《しょ》出ていましょうね。)(はあはあ、出てます出てます。)学生は何でももう早く餅をげろ呑みにして早く生きたいようにも見えまたやっぱり疲《つか》れてもいればこういう款待《かんたい》に温《あたたか》さを感《かん》じてまだ止まっていたいようにも見えた。
(今日はそうせばとどこまで。)(ええ、峠《とうげ》まで行って引っ返《かえ》して来て県道《けんどう》を大船渡《おおふなと》へ出ようと思います。)
(今晩《こんばん》のお泊《とま》りは。)(姥石《うばいし》まで行けましょうか。)(はあ、ゆっくりでごあ※[#小書き平仮名ん、135−11]す。)(いや、どうも失礼《しつれい》しました。ほんとうにいろいろご馳走《ちそう》になって、これはほんの少しですが。)学生は鞄《かばん》から敷島《しきしま》を一つとキャラメルの小さな箱《はこ》を出して置《お》いた。(なあにす、そたなごとお前さん。)おみち
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