ですね。)(ええ、そう、そう、水車って云えば水車でさあ。ただ粟《あわ》や稗《ひえ》を搗くんでない金を搗くだけで。)(そしてお家はまだ建《た》たなかったんですね、いやお食事《しょくじ》のところをお邪魔《じゃま》しました。ありがとうございました。)
 学生は立とうとした。嘉吉はおみちの前でもう少してきぱき話をつづけたかったし、学生がすこしもこっちを悪《わる》く受《う》けないのが気に入ってあわてて云った。(まあ、ひとつおつき合いなさい。ここらは今日|盆《ぼん》の十六日でこうして遊《あそ》んでいるんです。かかあもせっ角《かく》拵《こさ》えたのお客《きゃく》さんに食べていただかなぃと恥《はじ》かきますから。)(おあがんな※[#小書き平仮名ん、134−16]え。)おみちも低《ひく》く云った。
 学生はしばらく立っていたが決心《けっしん》したように腰《こし》をおろした。(そいじゃ頂《いただ》きますよ。)(はっは、なあに、こごらのご馳走《ちそう》てばこったなもんでは。そうするどあなだは大学では何のほうで。)(地質《ちしつ》です。もうからない仕事《しごと》で。)餅《もち》を噛《か》み切って呑《の》み下し
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