十六日
宮沢賢治
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)盆《ぼん》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)三|服《ぷく》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#小書き平仮名ん、134−7]
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よく晴れて前の谷川もいつもとまるでちがって楽しくごろごろ鳴った。盆《ぼん》の十六日なので鉱山《こうざん》も休んで給料《きゅうりょう》は呉《く》れ畑《はたけ》の仕事《しごと》も一段落《いちだんらく》ついて今日こそ一日そこらの木やとうもろこしを吹《ふ》く風も家のなかの煙《けむり》に射《さ》す青い光の棒《ぼう》もみんな二人のものだった。
おみちは朝から畑にあるもので食べられるものを集《あつ》めていろいろに取《と》り合せてみた。嘉吉《かきち》は朝いつもの時刻《じこく》に眼《め》をさましてから寝《ね》そべったまま煙草《たばこ》を二、三|服《ぷく》ふかしてまたすうすう眠《ねむ》ってしまった。
この一年に二日しかない恐《おそ》らくは太陽《たいよう》からも
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