》ぐなぃもな。盆《ぼん》の十六日ぁ遊《あそ》ばなぃばつまらなぃ。おれ云ったなみんなうそさ。な。それでもああいうきれいな男うなだて好《す》ぎだべ。)(好かなぃ。)おみちが甘《あま》えるように云った。
(好ぎたって云ったらおれごしゃぐど思うが。そのこらぃなごと云ってごしゃぐような水臭《みずくさ》ぃおらだなぃな。誰《だれ》だってきれいなものすぎさな。おれだって伊手《いで》ででもいいあねこ見ればその話だてするさ。あのあんこだて好《す》ぎだべ。好ぎだて云え。こう云うごとほんと云うごそ実《じつ》ぁあるづもんだ。な。好ぎだべ。)おみちは子供《こども》のようにうなずいた。嘉吉はまだくしゃくしゃ泣《な》いておどけたような顔をしたおみちを抱《だ》いてこっそり耳へささやいた。(そだがらさ、あのあんこ肴《さかな》にして今日ぁ遊ぶべじゃい。いいが。おれあのあんこうなさ取《と》り持《も》づ。大丈夫《だいじょうぶ》だでばよ。おれこれがら出掛《でか》げて峠《とうげ》さ行ぐまでに行ぎあって今夜の踊《おど》り見るべしてすすめるがらよ、なあにどごまで行がなぃやなぃようだなぃがけな。そして踊り済《す》まってがら家さ連《つ》れ
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