ん》は首《くび》かざりを渡《わた》して百合《ゆり》を手にとりました。
 「何にするんだい。その花を」子供《こども》がふと思いついたように言《い》いました。
 「正※[#「※」は「偏」のにんべんが行にんべん、第3水準1−84−34、86−1]知《しょうへんち》にあげるんだよ」
 「あっ、そんならやらないよ」子供《こども》は首《くび》かざりを投《な》げ出しました。
 「どうして」
 「僕《ぼく》がやろうと思ったんだい」
 「そうか。じゃ返《かえ》そう」
 「やるよ」
 「そうか」大臣《だいじん》はまた花を手にとりました。
 「お前はいい子だな。正※[#「※」は「偏」のにんべんが行にんべん、第3水準1−84−34、86−8]知《しょうへんち》がいらっしゃったらあとについてお城《しろ》へおいで。わしは大蔵大臣《おおくらだいじん》だよ」
 「うん、行くよ」子供《こども》はよろこんで叫《さけ》びました。
 大臣《だいじん》は林をまわって川の岸《きし》へ来ました。
 「立派《りっぱ》な百合《ゆり》だ。ほんとうに。ありがとう」王様《おうさま》は百合《ゆり》を受けとってそれからうやうやしくいただきました
前へ 次へ
全10ページ中9ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング