しゅみせん》の南側《みなみがわ》の瑠璃《るり》もまるですきとおるように見えます。こんな日|如来正※[#「※」は「偏」のにんべんが行にんべん、第3水準1−84−34、83−16]知《にょらいしょうへんち》はどんなにお立派《りっぱ》に見えましょう」
「いいあんばいだ。街《まち》は昨日《きのう》の通りさっぱりしているか」
「はい、阿耨達湖《アノブダブこ》の渚《なぎさ》のようでございます」
「斎食《とき》のしたくはいいか」
「もうすっかりできております」
「柏林《かしわばやし》の造営《ぞうえい》はどうだ」
「今朝《けさ》のうちには大丈夫《だいじょうぶ》でございます。あとはただ窓《まど》をととのえて掃除《そうじ》するだけでございます」
「そうか。ではしたくしよう」
王さまはみんなを従《したが》えてヒームキャの川岸《かわぎし》に立たれました。
風がサラサラ吹《ふ》き木の葉《は》は光りました。
「この風はもう九月の風だな」
「さようでございます。これはすきとおったするどい秋《あき》の粉《こな》でございます。数知れぬ玻璃《はり》の微塵《みじん》のようでございます」
「百合《ゆり
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