ます」
「そうか、それではまちがいあるまい。ああ、どんなにお待《ま》ちしただろう。すぐ町《まち》を掃除《そうじ》するよう布令《ふれ》を出せ」
「申《もう》し上げます。町はもうすっかり掃除《そうじ》ができてございます。人民《じんみん》どもはもう大悦《おおよろこ》びでお布令《ふれ》を待《ま》たずきれいに掃除《そうじ》をいたしました」
「うう」王さまはうなるようにしました。
「なお参《まい》ってよく粗匆《そそう》のないよう注意《ちゅうい》いたせ。それから千人の食事《しょくじ》のしたくを申《もう》し伝《つた》えてくれ」
「かしこまりました。大膳職《だいぜんしょく》はさっきからそのご命《めい》を待《ま》ちかねてうろうろうろうろ廚《くりや》の中を歩きまわっております」
「ふう。そうか」王さまはしばらく考えていられました。
「すると次《つぎ》は精舎《しょうじゃ》だ。城外《じょうがい》の柏林《かしわばやし》に千人の宿《やど》をつくるよう工作のものへ言《い》ってくれないか」
「かしこまりました。ありがたい思召《おぼしめし》でございます。工作の方のものどもはもう万一《まんいち》ご命令《めい
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