の家からもこっちの家からも人が出て通りを掃《は》いております。水がまかれ牛糞《ぎゅうふん》や石ころはきれいにとりのけられ、また白い石英《せきえい》の砂《すな》が撒《ま》かれました。
 「正※[#「※」は「偏」のにんべんが行にんべん、第3水準1−84−34、82−2]知《しょうへんち》はあしたの朝の七時ごろヒームキャの河《かわ》をおわたりになってこの町にいらっしゃるそうだ」
 もちろんこの噂《うわさ》は早くも王宮《おうきゅう》に伝《つた》わりました。
 「申《もう》し上げます。如来正※[#「※」は「偏」のにんべんが行にんべん、第3水準1−84−34、82−5]知《にょらいしょうへんち》はあしたの朝の七時ごろヒームキャの河《かわ》をおわたりになってこの町にいらっしゃるそうでございます」
 「そうか、たしかにそうか」王さまはわれを忘《わす》れて瑪瑙《めのう》で飾《かざ》られた王座《おうざ》を立たれました。
 「たしかにさようと存《ぞん》ぜられます。今朝《けさ》ヒームキャの向《む》こう岸《ぎし》でご説法《せっぽう》のをハムラの二人の商人《しょうにん》が拝《おが》んで参《まい》ったと申《もう》し
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