で、種山剣舞連と大きく書いた沢山の提灯《ちゃうちん》に囲まれて、みんなと町へ踊りに行ったのだ。ダー、ダー、ダースコ、ダー、ダー。踊ったぞ、踊ったぞ。町のまっ赤な門火の中で、刀をぎらぎらやらかしたんだ。楢夫《ならを》さんと一緒になった時などは、刀がほんたうにカチカチぶっつかった位だ。
 ホウ、そら、やれ、
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むかし 達谷《たっこく》の 悪路王《あくろわう》、
まっくらぁくらの二里の洞《ほら》、
渡るは 夢と 黒夜神《こくやじん》、
首は刻まれ 朱桶《しゅをけ》に埋もれ。
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やったぞ。やったぞ。ダー、ダー、ダースコ、ダーダ、
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青い 仮面《めん》この こけおどし、
太刀《たち》を 浴びては いっぷかぷ、
夜風の 底の 蜘蛛《くも》をどり、
胃袋ぅ はいて ぎったりぎたり。
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ほう。まるで、……。)
「達二。居るが。達二。」達二のお母さんが家の中で呼びました。
「あん、居る。」達二は走って行きました。
「善い童《わらす》だはんてな、おぢぃさんど、兄《あい》な[#「な」は小書き]ど、上の原のすぐ上り口で
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