でんしんばしらのぐんたいは
 はやさせかいにたぐいなし
 ドッテテドッテテ、ドッテテド
 でんしんばしらのぐんたいは
 きりつせかいにならびなし。」
[#ここで字下げ終わり]
 一本のでんしんばしらが、ことに肩《かた》をそびやかして、まるでうで木もがりがり鳴るくらいにして通りました。
 みると向うの方を、六本うで木の二十二の瀬戸もののエボレットをつけたでんしんばしらの列が、やはりいっしょに軍歌をうたって進んで行きます。
[#ここから3字下げ]
「ドッテテドッテテ、ドッテテド
 二本うで木の工兵隊
 六本うで木の竜騎兵《りゅうきへい》
 ドッテテドッテテ、ドッテテド
 いちれつ一万五千人
 はりがねかたくむすびたり」
[#ここで字下げ終わり]
 どういうわけか、二本のはしらがうで木を組んで、びっこを引いていっしょにやってきました。そしていかにもつかれたようにふらふら頭をふって、それから口をまげてふうと息を吐《つ》き、よろよろ倒《たお》れそうになりました。
 するとすぐうしろから来た元気のいいはしらがどなりました。
「おい、はやくあるけ。はりがねがたるむじゃないか。」
 ふたりはいかにも
前へ 次へ
全11ページ中3ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング