が向《む》こうの窓《まど》を見ながら叫《さけ》んでいました。
ああそこにはクリスマストリイのようにまっ青な唐檜《とうひ》かもみの木がたって、その中にはたくさんのたくさんの豆電燈《まめでんとう》がまるで千の蛍《ほたる》でも集《あつ》まったようについていました。
「ああ、そうだ、今夜ケンタウル祭《さい》だねえ」
「ああ、ここはケンタウルの村だよ」カムパネルラがすぐ言《い》いました。
[#天から5字下げ](此《こ》の間|原稿《げんこう》なし)
「ボール投げなら僕《ぼく》決《けっ》してはずさない」
男の子が大いばりで言《い》いました。
「もうじきサウザンクロスです。おりるしたくをしてください」青年がみんなに言《い》いました。
「僕《ぼく》、も少し汽車に乗ってるんだよ」男の子が言《い》いました。
カムパネルラのとなりの女の子はそわそわ立ってしたくをはじめましたけれどもやっぱりジョバンニたちとわかれたくないようなようすでした。
「ここでおりなけぁいけないのです」青年はきちっと口を結《むす》んで男の子を見おろしながら言《い》いました。
「厭《いや》だい。僕《ぼく》もう少し汽車へ乗《の》ってから
前へ
次へ
全110ページ中89ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング