あれが名高いアルビレオの観測所《かんそくじょ》です」
窓《まど》の外の、まるで花火でいっぱいのような、あまの川のまん中に、黒い大きな建物《たてもの》が四|棟《むね》ばかり立って、その一つの平屋根《ひらやね》の上に、眼《め》もさめるような、青宝玉《サファイア》と黄玉《トパーズ》の大きな二つのすきとおった球《たま》が、輪《わ》になってしずかにくるくるとまわっていました。黄いろのがだんだん向《む》こうへまわって行って、青い小さいのがこっちへ進《すす》んで来、まもなく二つのはじは、重《かさ》なり合って、きれいな緑《みどり》いろの両面凸《りょうめんとつ》レンズのかたちをつくり、それもだんだん、まん中がふくらみだして、とうとう青いのは、すっかりトパーズの正面《しょうめん》に来ましたので、緑《みどり》の中心と黄いろな明るい環《わ》とができました。それがまただんだん横《よこ》へ外《そ》れて、前のレンズの形を逆《ぎゃく》にくり返《かえ》し、とうとうすっとはなれて、サファイアは向《む》こうへめぐり、黄いろのはこっちへ進《すす》み、またちょうどさっきのようなふうになりました。銀河《ぎんが》の、かたちもなく
前へ
次へ
全110ページ中51ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮沢 賢治 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング