ランダム》やらでした。ジョバンニは、走ってその渚《なぎさ》に行って、水に手をひたしました。けれどもあやしいその銀河《ぎんが》の水は、水素《すいそ》よりももっとすきとおっていたのです。それでもたしかに流《なが》れていたことは、二人《ふたり》の手首《てくび》の、水にひたったとこが、少し水銀《すいぎん》いろに浮《う》いたように見え、その手首《てくび》にぶっつかってできた波《なみ》は、うつくしい燐光《りんこう》をあげて、ちらちらと燃《も》えるように見えたのでもわかりました。
 川上の方を見ると、すすきのいっぱいにはえている崖《がけ》の下に、白い岩《いわ》が、まるで運動場《うんどうじょう》のように平《たい》らに川に沿《そ》って出ているのでした。そこに小さな五、六人の人かげが、何か掘《ほ》り出すか埋《う》めるかしているらしく、立ったりかがんだり、時々なにかの道具《どうぐ》が、ピカッと光ったりしました。
「行ってみよう」二人《ふたり》は、まるで一|度《ど》に叫《さけ》んで、そっちの方へ走りました。その白い岩《いわ》になったところの入口に、〔プリオシン海岸《かいがん》〕という、瀬戸物《せともの》のつる
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