ぼんやりした三角標《さんかくひょう》の形になって、しばらく蛍《ほたる》のように、ぺかぺか消《き》えたりともったりしているのを見ました。それはだんだんはっきりして、とうとうりんとうごかないようになり、濃《こ》い鋼青《はがね》のそらの野原にたちました。いま新しく灼《や》いたばかりの青い鋼《はがね》の板《いた》のような、そらの野原に、まっすぐにすきっと立ったのです。
 するとどこかで、ふしぎな声が、銀河《ぎんが》ステーション、銀河《ぎんが》ステーションと言《い》う声がしたと思うと、いきなり眼《め》の前が、ぱっと明るくなって、まるで億万《おくまん》の蛍烏賊《ほたるいか》の火を一ぺんに化石《かせき》させて、そらじゅうに沈《しず》めたというぐあい、またダイアモンド会社で、ねだんがやすくならないために、わざと穫《と》れないふりをして、かくしておいた金剛石《こんごうせき》を、誰《だれ》かがいきなりひっくりかえして、ばらまいたというふうに、眼《め》の前がさあっと明るくなって、ジョバンニは、思わず何べんも眼《め》をこすってしまいました。
 気がついてみると、さっきから、ごとごとごとごと、ジョバンニの乗《の
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