すぐに立って左手に時計《とけい》を持《も》ってじっと見つめていたのです。
 みんなもじっと河《かわ》を見ていました。誰《だれ》も一言《ひとこと》も物《もの》を言《い》う人もありませんでした。ジョバンニはわくわくわくわく足がふるえました。魚をとるときのアセチレンランプがたくさんせわしく行ったり来たりして、黒い川の水はちらちら小さな波《なみ》をたてて流《なが》れているのが見えるのでした。
 下流《かりゅう》の方の川はばいっぱい銀河《ぎんが》が巨《おお》きく写《うつ》って、まるで水のないそのままのそらのように見えました。
 ジョバンニは、そのカムパネルラはもうあの銀河《ぎんが》のはずれにしかいないというような気がしてしかたなかったのです。
 けれどもみんなはまだ、どこかの波《なみ》の間から、
「ぼくずいぶん泳《およ》いだぞ」と言いながらカムパネルラが出て来るか、あるいはカムパネルラがどこかの人の知らない洲《す》にでも着《つ》いて立っていて誰《だれ》かの来るのを待《ま》っているかというような気がしてしかたないらしいのでした。けれどもにわかにカムパネルラのお父さんがきっぱり言《い》いました。

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